「買春の刑罰化は、誰のためにもならない」“買う側”の処罰法制定を国が検討も…セックスワーカー支援団体が「反対」する理由 | 弁護士JPニュース
まず、多くのセックスワーカー1の人権団体、支援団体、市民団体がスウェーデン・モデル2に反対し、完全な非犯罪化を求めています。これには米国自由人権協会(ACLU)3、アムネスティ・インターナショナル456、ヒューマン・ライツ・ウォッチ6, 7、国連HIV/AIDS合同計画8、世界保健機関(WHO)9が含まれます。買春処罰制度は実際にはセックスワーカーの人権状況を悪化させるという指摘も、証拠をもってなされています。10
そして何より、手続き上の問題があります。既に強い偏見に晒され、社会の色々な場から排除されている社会的マイノリティーの尊厳・生活・健康・生命に影響を直接及ぼす制度づくりを、当該マイノリティーのいない場で勝手に決めることは暴力であり、それをよしとすることは差別そのものです。本件について言えば、セックスワーカーを抜きに決めてしまってよいことではないのです!
上記の記事に出ている SWASH はセックスワーカーの支援を日本でおそらく最も熱心におこなっている当事者団体11です。非ワーカーのかたに向けての発信もおこなっているので、よかったらチェックしてみてください。
以前見たこのスピーチ動画も見てほしいと思ったので、ここでシェアしておきます。
“@swash_jp 12月7日
昨日のわたしのからだデモでスピーチしました(投稿できる秒数の制限により少し編集)💪🏼「私たちの身体は私たちのものである」ことはセックスワーカーにも当てはまります。買春処罰対策を含め様々な分野の活動を連帯していきたいと思っています(手話通訳が見えずらい角度になってしまいすみません)”
https://twitter.com/i/status/1997334709202751797
- 性労働者, SWerとも ↩︎
- 「北欧モデル(Nordic Model)」と呼ばれることもありますが、フィンランドとデンマークが導入していないという事実を覆い隠してしまうので、わたしは極力そのままでは使わないようにしています。 ↩︎
- 「性労働を非犯罪化する時が来た」 It’s Time to Decriminalize Sex Work | American Civil Liberties Union (米国自由人権協会ACLU, 2021)
セックスワーク非犯罪化は、黒人トランスジェンダー女性 (黒人/女性/トランスであることへの偏見/嫌悪/敵意のせいでセックスワーク以外の職業から最も排除され、またセックスワーカーであることに対する職業差別的な偏見/嫌悪/敵意に基づく差別の影響も受けるため、その複合差別のせいでヘイト殺人の標的とされるリスクも際立って高い) の命を助けるためにも待ったなしで取り組むべきだとの指摘も載っています。こうしたさまざまな複合差別の影響は、US国外の日本のような地域でも考慮される必要のあることです。 ↩︎ - 「性労働者とフェミニストの支援者らは、国連人権専門家による性労働の完全非犯罪化への支持を歓迎する」 Sex workers and feminist allies welcome UN human rights experts’ support for the full decriminalization of sex work – Amnesty International (SWIFA: セックスワーカー・インクルーシブなフェミニスト同盟。当文書ではアムネスティ・インターナショナルや世界各地の反-性的人身取引の活動をしているフェミニスト団体を含む8団体が連名, 2024) ↩︎
- 「欧州: 性労働の犯罪化による害悪を認めないことは『機会損失』である」 Europe: Failure to recognise harm caused by criminalization of sex work is a “missed opportunity” – Amnesty International (アムネスティ・インターナショナル, 2024の欧州人権裁判所判決に対し) ↩︎
- 欧州評議会の性労働者の人権に関する決議を支持する、アムネスティほか15団体による公開書簡 Council of Europe: Open letter in favour of the resolution on the human rights of sex workers – Amnesty International
(2024年の共同書簡で、以下の連名による:
Amnesty International
Correlation-European Harm Reduction Network (C-EHRN)
European Network Against Racism (ENAR)
European Sex Workers’ Rights Alliance (ESWA)
ILGA-Europe
Global Alliance Against Traffic in Women (GAATW)
International Planned Parenthood Federation – European Network (IPPF EN)
PICUM
Equinox Initiative for Racial Justice
Doctors of the World/Médecins du Monde France
AIDS Action Europe
La Strada International
Human Rights Watch
Transgender Europe (TGEU)
Sexual Rights Initiative
) ↩︎ - 6.6のような共同書簡に加え、独自でも「性労働を非犯罪化すべき理由」 Why Sex Work Should Be Decriminalized | Human Rights Watch (HRW-ヒューマン・ライツ・ウォッチ, 2019) などを出している。 ↩︎
- 「UNAIDS HIVと性労働に関するガイダンスノート」 [PDF] UNAIDS Guidance Note on HIV and Sex Work (UNAIDS, 2012) ↩︎
- セックスワーカーに関する記述 Sex Workers – Department for HIV, Tuberculosis, Hepatitis and STIs WHO-世界保健機構 HIV・結核・肝炎・性感染症局 ↩︎
- 「スウェーデンモデル言説を解体: 顧客犯罪化に関する10の主要な主張を覆す証拠」 Myth-Busting the Swedish Model – European Sex Workers’ Rights Alliance (2022, 欧州性労働者権利同盟) などはその一例。 ↩︎
- 正直言うと、SWASHに対しても不満が無いわけではなく、特に代表のかたからは個人的にハラスメント被害を受けてもいる(本記事初稿時点で謝罪も無し。忘れていません)のですが、それでもSWASHそのものの存在意義/必要性には疑問の余地が無いと思っています。 ↩︎
